
ただし、「お電話」「ごゆっくり」などの例外もあります。
また、「お返事」と「ご返事」「お名刺」と「ご名刺」のように、どちらもよく使われる言葉もあります。
「お」が付く言葉 【訓読】
お名前、お住まい、お知らせ、お食事、お品、お勤め、お話、お招き、お気持ち
「ご」が付く言葉 【音読】
ご氏名、ご住所、ご通知、ご進物(礼物)、ご勤務、ご講演、ご招待、ご感想
よく使われる言い換え型の例
| 普段の言い回し | 言い換え型の尊敬語 |
| する | される、なさる |
| いる、行く、来る | いらっしゃる、おいでになる |
| 行く、来る | お越しになる |
| 食べる、飲む | 召し上がる |
| 見る、~してみる | ご覧になる |
| 言う | おっしゃる |
| 知っている | ご存知 |
| 普段の言い回し | 言い換え型の謙譲語 |
| 言う | 申し上げる |
| もらう、食べる、飲む | いただく、頂戴する |
| 思う、知っている | 存じ上げる |
| 見る | 拝見する |
| 与える、やる | 差し上げる |
| 行く、聞く、尋ねる | 伺う |
| 聞く、わかる | 承る |
普段の言い回しを言い換えて、プラスイメージを高めた接客用語への変換例
| 普段の言い回し | 変換後の接客用語 |
| お値下げ品 | お買い得品 |
| お釣り | お返し |
| 荷物 | お手回り品 |
| 修理 | お直し |
| わかりません | ただ今お調べいたしますので、少々お待ち下さい |
| 品切れです | あいにく当店では在庫が切れておりますが、すぐにお取り寄せいたします |
正しい接客用語への変換
| 普段の言い回し | 正しい接客用語 |
| いらっしゃい | いらっしゃいませ |
| 2名様、こちらのお席です | 2名様、ご案内いたします |
| ▲席を指定してしまうのは印象がよくない | |
| ご注文は? | ご注文はいかがなさいますか? |
| ▲「ご注文は?」で終わってしまうと、横柄(おうへい)な印象を与える | |
| お待ちどおさまでした | お待たせいたしました |
| ▲「お待ちどうおさま」は接客には使わない | |
| わかりました (用件を聞いた後) | かしこまりました |
| ▲接客で「わかりました」は失礼にあたる | |
| 50円のお釣りになります | 50円のお返しでございます |
| ▲「お釣り」は「お返し」に変換する 「~になります」という使い方は、文法上間違い | |
おかしな表現を正しい接客用語に変換
| おかしな表現 | 正しい接客用語 |
| ご注文は以上で、よろしかったでしょうか? | ご注文は以上でよろしいでしょうか? |
| ▲「よろしかった」は過去形、正しくは現在形にする | |
| おビールのほう、お持ちしました | ビールをお持ちいたしました |
| ▲ビールやコーヒーなどのカタカナ語には、「お」を付けない 「~のほう」も不要な言葉 | |
| 1万円からお預かりいたします | 1万円、お預かりいたします |
| ▲ここでの「~から」という使い方は、文法上間違い | |
クッションことば
クッションことばの基本フレーズ
尋ねる・依頼する
| 失礼ですが |
| 恐れ入りますが |
| ~(して)いただけますか? |
| ~(して)いただけませんか? |
| お手数をおかけしますが |
| お忙しいところ、申訳ございません |
| 申し上げにくいことなのですが |
| お手間をとらせますが |
| お差支えなければ |
| ご迷惑かとは存じますが |
| 勝手を申しまして恐縮ですが |
| お使い立てして申し訳ございませんが |
*最後の「お使い立てする」は、伝言を頼むなど、人に頼んで自分の用事をしてもらうことです。
断る 依頼された内容に、承知できない場合の基本フレーズ
| 申し訳ございませんが |
| せっかくですが |
| あいにくですが |
| (まことに)残念ですが |
| ~いたしかねます、~できかねます |
| ご容赦ください |
| お役に立てなくて申し訳ございません |
*「したくない」「できない」という直接的な言い方はさける。
注意する 注意や警告をしなくてはならない場合の基本フレーズ
| ご遠慮ください |
| ご容赦ください |
| お許しください |
*「お手数ですが」や「恐れ入りますが」などのクッションことばを一緒に使う場合が多い。
援助を申し出る 人のために何かをしようという場合の基本フレーズ
| よろしければ |
| ~しましょうか? |
| 私にできることがございましたら |
| 何か、お力になれることがございましたら |
*「~してあげる」は、見下した態度になるので使わない。
クッションことばの活用
状況やシーンによっては尊敬語や謙譲語だけでは、全く失礼のない言い回しにならない場合があります。
文例1.
「携帯電話はありますか?」
⇒クッションことば無しの応対
「当店ではお取り扱いしておりません」
⇒クッションことばありの応対
「大変申し訳ございません。当店ではお取り扱いしておりません」
◎ポイント
クッションことば無しの方は、謙譲語や尊敬語の使い方は間違っていません
が、やや冷たくそっけない感じがする。
「大変申し訳ありません」という、クッションことばを入れることによって、相手
への気遣いが表せる。
文例2.
「返品したいんですけど」
⇒クッションことば無しの応対
「こちらにお送りください」
⇒クッションことばありの応対
「お手数をおかけしますが、こちらにお送りいただけませんか?」
◎ポイント
クッションことばの「お手数をおかけしますが」をつけて、相手への気遣いを
表す。
さらに、語尾を「いただけませんか?」という依頼の形にすることで、判断を
相手にゆだねる形にする。
クッションことばは、一般に何かを頼む時や断るときなど、言いにくいことを言わなくてはならないときに、多く使います。
クッションことばは、決まったことばがあるわけではありませんが、よく使う言い回しは、ほぼ定型化しているので、覚えてしまいましょう。
