
まる子:日曜の夜にお腹いっぱい美味しい物を食べられて、こんなに幸せの事ないよ。
爺:そうじゃな。皆で食べるご飯は格別じゃな。
母:そう言ってくれると、嬉しいわね。ところで、まる子,宿題はやったんの?
まる子:嫌な事を言うね、この人は。せっかく人がいい気分になってって言うのに。
姉:ねえ、もうすぐ休期大会でしょう?そろそろ朝の練習があるじゃないの?
まる子:あ、そうだった。明日から朝早く学校へ行って練習があるんだ。どうしよう?皆張り切ってたから、遅刻できないよ。
母:最初から遅刻の心配なんかしてないで、早く起きて行きなさい!
婆:あれ、でも随分前から雨が降り出したどね。それでもやるのかい?
まる子:え、本当?やった!これで朝の練習無くなるかも!
母:そんなに喜ぶじゃないの!
玉:あ、まるちゃん。もう連絡網回って来た?
まる子:連絡網?
玉:ほら、クラスの皆に連絡を回す表があったじゃない。
まる子:えっと、うん?これだ!
「クラス全員に緊急連絡するための表、それが連絡網である。ただし、殆ど使う事がないので,偶に使われると用件は必要以上に重要な気がしてくる。」
玉:今家に連絡網で電話が掛かってきたの。
まる子:あ、玉ちゃん家には順番は速いんだね。で、何で連絡だったの?
玉:明日朝の練習中止だって。
まる子:本当!やった!
玉:きっとまるちゃん喜ぶと思って、先に電話しちゃった。
まる子:有難う、たまちゃん!一秒でも早く聞けて嬉しいよ!まったく。
玉:じゃ、まるちゃん家にも電話回って来ると思うから、切るね。話中だった大変だから。
まる子:うん、分かった。有難う、玉ちゃん、じゃね。やった、これで早起きしなくて済むよ。この素敵なお知らせを私に連絡してくれるのは誰かな?で、山根だ。何で寄りによって山根なのさ。大丈夫かな。ちゃんと連絡くれるのかな。
姉:先に用件聞いちゃったんだから、さっさと次の人に電話しちゃえば?
まる子:ダメだ、そんなの。連絡網の通りに回すのが決まりなんだからね。
姉:こういう時バカに真面目なんだから。
まる子:皆も電話に出ないでよ。
永沢:じゃ、そういう事だから。確かに伝えたからね。大丈夫か,山根君。
山根:はあ、連絡網なんて、今年初めてだよ。荷が重いな。もしここで自分が間違えたら、大変な事になっちゃうんだろうな。
永沢:先生、僕がしっかり伝えたのに,山根
君が違い事を言っちゃったんです。悪いのは山根君です。
浜治:電話の一つもできないかよ!
山根:やだやだ。失敗は許されないんだ。念のため、もう一度永沢君に内容を確認しておこう。
永沢:もしもし、永沢ですが。v 山根:あのさ、先の連絡だけど。朝の練習中止って事でいいんだよね。
永沢:君は一体何を聞いていたんだい?一分前に言ったばかりだろう?
山根:うん、だから中止って事で。
永沢:君がしっかり伝えないと、大変なことになるんだよ。分かってるのかい?全ては君に任せたからね。
山根:うん、分かった。
永沢:ったく、仕様がないな。
山根:よし、僕がやらねば、誰がやる。電話しよう。次は桜家か。やっぱり緊張するな。うん、胃腸が痛い。胃薬を飲んでから電話しよう。
「まる子への連絡はやっはり予想通り山根の所に渋滞していた。」
まる子:やっぱり先に知ってるのよくないよね。朝の練習が中止になったって聞いて驚かなきゃ。ねえ、お母さん。先玉ちゃんから電話が掛かって来た時私どんな風に驚いてた?
母:知らないわよ。
まる子:どうだったかな?ええ、なんですって?そりゃ大変だ。一大時代問題。
姉:煩いわね。中止ってだけなんでしょう?大げさなんだから。
まる子:いいの。もう姉ちゃんは関係ないんだから。
姉:せいせい長電話しない事ね。
まる子:他人事を言う人ね、まったく。ちゃんと驚いた声になるかな。あ、緊張してきた,ちょっとトイレ。
山根:よし、電話するぞ!
母:まる子!まる子!仕様がないね。まったく肝心な時になると、こうなんだから。
まる子:ダメーーー!
山根:何だ、今の?いきなりダメって何だよ?電話間違えたかな。
まる子:もしもし、山根?あれ、電話切れちゃってるよ。
母:いい加減にしない!
婆:おや、雨小降りになって来たね。
まる子:ああ、危ない!危ない!さっさと中止にしてもらってよかったよ。今度こそ山根だ。もしもし?
山根:あ、桜。山根だけど。
まる子:お、山根。待ってたよ。
山根:待ってた?
まる子:あ、いやいや、そろそろ誰かから電話が来るかななんて思ってたさ。
山根:あのさ、これ連絡網だけど。
まる子:連絡網ね。で、何?
山根:いいかい?今から言うよ。
まる子:何さ?速く言ってよ。言いたい事は分かってるよ。
山根:明日の朝の練習中止だって。じゃ、伝えたからね。ちゃんと伝えたからね。
まる子:あ、山根。
山根:でも雨止
んできちゃったけど、明日の朝晴れてたら、どうするの?
山根:晴れてたら、練習したい人は早く来るかもね。桜はどうする?
まる子:あたしは行かないよ。その為の連絡網なんだからさ。
山根:そりゃそうだ。はは、じゃ、後は宜しく。はあ、よかった。
まる子:じゃ、次の人に伝言しなきゃっと。次の人はみぎわさんか。強烈な二人に挟まれちゃってるね、こりゃ。でもしっかり伝えなきゃ。
みぎわ母:はい、もしもし。桜さん。ああ、連絡網ね。ちょっと待っててね。花子さん、電話よ。
みぎわ:私に電話?
みぎわ母:連絡網ですって。
みぎわ:連絡網?一体どんな連絡かしら。そんな緊急に伝えなきゃならないことなんてある?あ、きっとあたしが学級委員だから,何か大切な事を皆よりも一早く知らせるつもりなのかもしれないよ。っとすると、電話してくれたのは花輪君かも。いいえ、そうに決まってる。花輪君から私に直接電話なんて。
花輪:ハイ、ハニー。
みぎわ:連絡網が結ぶ愛なんて、なんてロマンチック。
まる子:なかなか出てこないね。みぎわさんの家ってそんなに広かったっけ。
みぎわ:もしもし、花輪君?
まる子:で、みぎわさん花輪君からの電話だと思ってるよ。どうしよう?
みぎわ:もしもし、どうしたの?花輪君。あたしに直接言いたい事があるの?
まる子:困ったな。あのー、ええ、あたしだけど。もしもし、みぎわさん。聞こえる?
みぎわ:桜さん、一体何の用?
まる子:あら、自分か感違えしたのに、怒ってるよ。何の用って連絡網なんだけど。
みぎわ:それで何?
まる子:とにかく連絡だけはしっかり伝えなきゃ。明日の朝の練習中止だって。
みぎわ:あ、そう。
まる子:じゃ、伝えたからね。
みぎわ:へん、連絡網ってただそれだけなの?
まる子:うん、そうだよ。
みぎわ:つまんないのね。
まる子:へへ、そりゃただの連絡だからね。でも明日晴れてたら、行く人はいるかもね。もしかして花輪君なんかも来るかも。あれ、もしもし、みぎわさん?もしもし!切れちゃった。はあ、とにかく連絡をした事だし。これで良しっと。
母:まる子、お茶よ。
まる子:はい。
みぎわ:花輪君と朝を迎えられるかもしれないなんて、今日は早く寝なきゃ。
母:連絡網は済んだの?
まる子:うん。電話かけるだけでも一苦労だったよ。こんな連絡網は偶にで十分だね。
山根:言うんじゃなかった。晴れてたら練習したい人は早く来るかもね。
あんな事を言うんじゃなかった。もしこれが皆に伝われて全員練習に出て来ちゃったら、どうしよう?せっかくの連絡網は台無しだ。余計な事を言うんじゃなかった。よかった、誰も来てないや。心配で眠れなかったよ。取り越し苦労だったかな。
みぎわ:何で花輪君がいないで、ゆりによって山根だけがいるのよ?どういうことなの?桜さん、私を騙したわね。絶対に許さないから。
母:まる子、そんなにのんびりしてると,遅刻するよ。
まる子:いいの、いいの。練習が無くなった朝は楽でいいね。極楽だよ。
